先日、ある会社の社長と久しぶりに話をしました。
先方から連絡をしてこられてお会いしたのですが、
1年前半ほど前に会った時とは明らかに様子が違ったので、
会った瞬間に「経営がうまく行ってないんだろうな」と分かりました。
結局、数字の事は何も聞かなかったのですが、
本人の焦りようと私にすがるような態度から察しはつきます。
この方は前回お会いした時、自分の会社を自慢されてました。
私は県外だけでなく海外にも事業展開している!
飛ぶ鳥を落とす勢い、とまではいかなくても自信があふれていました。
しかし、2年足らずで別人かと思うほどの変わりようです。
「倒産」の二文字が頭に浮かんでいるので仕方ないのでしょうけど。
私は若輩ながら、数多くの経営者と深い付き合いがあります。
社員には口が裂けても言えない事を何度も聞いてきました。
そして、それを「一人の人間の気持ち」として受け止めてきました。
だから、経営者の心の動きは普通の人よりも分かります。
ものの10分も話をしないうちに、
この方がどんな経営をしてきたのか、どれ位の経営能力なのか、
なぜうまく行かなかったのかを理解しました。
何十年も経営してきて、この程度も分からなかったのか。
それでは失敗して当然だろう。
口に出しては言いませんでしたが、
これが私が心の中で下した結論でした。
では、この方は少し前までうまく行っていたのはなぜか?
それは、追い風にうまく乗っていたからです。
乗る風を見極めるカンは冴えていたのです。
うまく帆を掲げて風に乗ったから業容が拡大しました。
しかし、残念な事に「風はいつか止む」という事が分からなかったのです。
風に乗っている間に無風でも走れるエンジンを開発すべきだったのです。
しかし、この方はそうはしませんでした。
「オレはすごい速さで走っている」
そう勘違いした時、既にこの方の凋落は始まっていました。
その社長は馬鹿か?
もし、そう思ったのなら要注意です。
あなたの今の成功、今の立場。
これは本当に実力でしょうか?
「たまたま」ではないのでしょうか?
追い風が吹いているだけではないでしょうか?
それが向かい風に変わった時も同じ事を言えるでしょうか?
他人を笑うのは簡単だけども、それでいいのか?
将来、自分がそうならない保証はありません。
だから、他人の失敗は「他山の石」とすべきなのです。
何事も、運が良ければ成功する事はあります。
しかし、失敗する時は失敗すべくして失敗します。
大切なのは、たまたまうまく行っている時に油断せず、
足もとをしっかりと固める事です。